診療報酬明細書からみた抜髄・感染根管処置頻度の経年的推移

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歯の平均寿命を延長するために,抜歯を防ぐことは重要な因子である。根管治療をうけた歯はうけていない歯よりも高い頻度で抜歯されることから,根管治療を減らすことは口腔保健の重要な目標となる。そこで本研究では,歯科診療所における根管治療の頻度の年次推移を分析し,歯科保健の方向性を知ることを目的にした。資料は,厚生省の社会医療診療行為別調査を用いた。分析対象は,昭和55,58,60年,平成2,6年の歯科診療所分の明細書のうち,10歳以上のものとした。その結果,以下の知見を得た。1.調査年における全明細書件数割合は,昭和55年では30歳代にピークがあるのに対し,平成6年のピークは50歳代へと変化し,受療者の相対的な高齢化がみられた。2.根管治療受療者の平均年齢は経年的に増加し,14年間のうちに抜髄処置は約9歳,感染根管処置は約11歳上昇した。抜髄と感染根管処置のいずれについても,単根管の受療者の高齢化が複根管に比べ顕著であった。3.複根管の抜髄が全明細書に占める割合は,いずれの調査年も最頻値は15〜24歳で大きな変化はなかった。このことは,複根管歯髄の新たな保存策の必要性を示唆している。単根管の抜髄処置の割合は,高年齢層で高く,経年的に増加した。4.全明細書に占める抜髄処置の割合は,単根管では平成2年までは増加し,その後減少した。複根管では,昭和60年以降減少した。感染根管処置の割合は単根管・複根管とも経年的に減少した。
有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
2002-07-30

診療報酬明細書からみた抜髄・感染根管処置頻度の経年的推移

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