糸球体IgA沈着におけるTh2型粘膜免疫反応の役割
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概要
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目的:近年,Th1/Th2パラダイムに基づきIgA腎症の発症機序が検討されているが,いまだ明らかにされていない.今回われわれは,Th2型免疫誘導転写因子GATA-3遺伝子導入トランスジェニック(GATA-3 Tg)マウスを用いて糸球体へのIgA沈着における粘膜免疫の関わりについて検討した.対象:GATA-3 Tgと卵白アルブミン(OVA)認識T細胞レセプター遺伝子導入トランスジェニック(TCR-Tg)マウスとの交配によりGATA-3/TCR-Tgマウスを作製した.対照として,GATA-3遺伝子非導入WT/TCR-Tgマウスを用いた.方法:免疫方法は,経口免疫と腹腔免疫の2種類について検討した.経口免疫において,(I)OVA+コレラトキシン(CT)もしくは(II)CT単独,腹腔免疫では(III)OVA+アラム(Alum)を投与した.各々の群に対して最終感作から1週間後にOVAを追加経口投与し,4日後に各群の(1)血清OVA特異的IgA抗体価,(2)尿中アルブミン・クレアチニン量,(3)腎・腸管の病理組織学的検討を行った.結果:OVA+CTの経口免疫GATA-3/TCR-Tgマウスのみに,(1)IgA・C3の糸球体への沈着,(2)メサンギウム細胞増殖を伴う基質の拡大,(3)血清OVA特異的IgA抗体価の上昇,(4)IgAと同一部位にmannan-binding lectin (MBL)の沈着,(5)糸球体内にIgG2aの沈着などを認め,ヒトIgA腎症と極めて類似した所見を呈した.結論:IgAの腎糸球体への沈着は,Th2型免疫反応優位な環境下の粘膜免疫系を介して誘導されることが示唆された.
- 2005-12-30
著者
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富野 康日己
順天堂大学腎臓内科
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堀越 哲
順天堂大学医学部内科学教室腎臓内科学講座
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玉内 秀一
北里大学医学部微生物学
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垣生 園子
東海大学免疫学
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垣生 園子
東海大学医学部 免疫
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垣生 園子
東海大・医・免疫
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垣生 園子
東海大医学部生体防御
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垣生 園子
東海大学 医学部医学科基礎医学系生体防御学部門
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鈴木 祐介
順天堂大学医学部内科学教室腎臓内科学講座
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玉内 秀一
北里大学医学部微生物・皮膚科
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玉内 秀一
北里大・微生物
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玉内 秀一
北里大医学部微生物
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玉内 秀一
北里大学 医療衛生学部 病理
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山中 貴博
順天堂大学医学部内科学教室腎臓内科学講座
-
寺島 正純
住友製薬創薬第二研究所病態免疫
-
寺島 正純
住友製薬
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堀越 哲
順天堂大学 医学部腎臓内科学
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鈴木 祐介
順天堂大学 腎臓内科
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垣生 園子
東海大学 免疫
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富野 康日己
順天堂大学医学部内科学教室腎臓内科学講座
-
垣生 園子
東海大學医学部生体防御機構系免疫学部
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玉内 秀一
北里大学医学部免疫学
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富野 康日己
順天堂大学
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