大腸癌のsurvivinの発現における臨床病理学的検討(健康科学科)
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概要
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survivinは、アポトーシスの抑制と細胞分裂の調節の二つ機能を有するタンパク質である。このタンパクは、成人の正常組織でほとんど発現せず、胎児の組織と人の癌の大部分で発現される。そのためdrug targetとして非常に注目されている。現在まで、種々の腫瘍におけるsurvivinの発現に関して報告は多いが、癌細胞の細胞質と核の局在の違いによる検討は少ない。今回、我々は、外科的に切除された進行大腸癌142例を対象とし、このタンパクの発現を免疫組織学的な酵素抗体法を用い、各種の臨床因子について検討した。結果:survivinの発現は、癌細胞の核(N)と細胞質(C)の両者に発現した症例(N+C+群)数は17(12%)例、核/細胞質の一方のみに発現した症例(N+C-群)数は92(64.8%)例、N-C+群は12(8.2%)例、両者陰性例N-C-群は21(14.8%)例であった。臨床病理学的にはN+C-群とN-C+群の比較では、統計的に有意にN-C+群で転移率が高く、また、N+を示す症例はN-より転移率とstage Dの割合が少ないが、C+を示す症例はC-よりstage Dの割合が増加していた。5年生存率では、核陽性の症例は予後はよいが、細胞質陽性の症例は予後不良を示した。結論:アポトーシスを抑制する因子であるsurvivinは、癌細胞の発現の局在の違いにより生物学的悪性度が異なることが示唆され、患者の予後、治療方針を考える上で、この蛋白の発現を検討することは有意義であることが証明された。
- 2006-03-03
著者
-
高田 隆
広島大学大学院医歯薬学総合研究科先進医療開発科学講座 口腔顎顔面病理病態学研究室
-
嶋本 文雄
広島大学医学部附属病院病理部
-
田中 信治
広島大学光学医療診療部
-
嶋本 文雄
県立広島大学 人間文化学部健康科学科
-
嶋本 文雄
広島大学附属病院病理
-
嶋本 文雄
県立広島大学人間文化学部健康科学科
-
達家 雅明
広島大学原爆放射能医学研究所放射線応答研究分野
-
岡 志郎
広島大学 内視鏡診療科
-
岡 志郎
Ja広島厚生連尾道総合病院 内視鏡センター
-
金子 巌
広島大学病院消化器内科
-
嶋本 文雄
広島大学 外科
-
嶋本 文雄
広島大学原爆放射能医学研究所 細胞再生学研究分野
-
嶋本 文雄
静岡県立総合病院臨床病理科
-
高田 隆
広島大学大学院医歯薬総合研究創生医科学専攻口腔医療学
-
嶋本 文雄
広島大学病院病理部
-
嶋本 文雄
広島大学附属病院病理部
-
嶋本 文雄
県立広島大学人間文化学部健康科学科病理病態学研究室
-
田中 信治
広島大学医学部光学医療診療部
-
斉 広〓
県立広島大学大学院生活科学研究科
-
TUNCEL Handan
Department of Biophysics, Cerrahpasa Medical Faculty, Istanbul University
-
青木 絵里子
県立広島大学大学院生活科学研究科
-
田中 信治
広島大学附属病院光学医療部
-
岡 志郎
広島大学附属病院光学医療部
-
高橋 亮吏
広島大学附属病院光学医療部
-
金子 巌
広島大学附属病院光学医療部
-
Tuncel Handan
Department Of Biophysics Cerrahpasa Medical Faculty Istanbul University
-
達家 雅明
広島大学原爆放射線医科学研究所 ゲノム障害制御研究部門ゲノム応答研究分野
-
達家 雅明
広島大学原爆放射線医科学研究所ゲノム応答学
-
嶋本 文雄
県立広島女子大学生活科学部健康科学科病態病理研究室
-
高田 隆
広島大学大学院医歯薬学総合研究科 創生医科学専攻先進医療開発科学講座 (歯周病態学分野)
-
高田 隆
広島大学大学院医歯薬保健学研究院 統合健康科学部門 国際歯科医学連携開発学分野
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