甲状腺機能より見たる鶏の体温生理に関する研究 : 第4報 Urethane麻酔及び麻酔後加温処理時における甲状腺I^<131>のrelease rate及び甲状腺I^<131>のuptakeの変化

概要

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生後6〜8カ月令の白色Leghorn種雄成鶏を用い, urethane麻酔の効果について確かめた後, urethane麻酔時及び麻酔後加温処理時における甲状腺よりのI^<131>のrelease rate及び甲状腺によるI^<131>の摂取率について研究した結果, 次の如き成績を得た.1)urethane麻酔は, 甲状腺I^<131>のrelease rate及び甲状腺によるI^<131>の摂取率に対し, ほとんど影響を持たないようである.2)urethane麻酔後93±2°Fに加温処理を行なつた場合も, 甲状腺I^<131>のrelease rateの変化は有意ではなく, 加温時における甲状腺I^<131>のrelease rateの抑制的変化は全く認められなくなる.3)59±2°Fの環境温度においてurethane麻酔を行なつた鶏のI^<131>の摂取率は平均16.7%で, urethane麻酔後93±2°Fに加温された鶏のI^<131>の摂取率は平均16.5%であつた.前報(1960)において報告した対照鶏及び加温処理鶏のI^<131>の摂取率と比較すると, urethane麻酔を行なつた鶏及びurethane麻酔後加温処理を行なつた鶏は対照鶏とほとんど大差なく, 加温処理鶏のI^<131>摂取率のみが著しく低い値を示した.4)この加温処理時の変化が認められなくなる理由について研究するために, urethane麻酔時における直腸温, 呼吸数及び心搏動数の変化ならびに呼吸筋の筋電図の変化を測定した.直腸温, 呼吸数及び心搏動数は深麻酔が得られると急速に低下または減少が認められ, また肋間筋の筋電図の変化も深麻酔が得られるとspikeの高さも低くなり, 放電間隔も長びいてくる.これらは体温調節中枢及び呼吸中枢の存在する間脳及び延髄に麻酔の起つたことを示すものと思われる.以上から環境温度の変化に反応する甲状腺機能の支配機構は, まず温度の影響が間脳に受取られ, この影響が下垂体-甲状腺系に及ぶため, 甲状腺機能の変化が起るものであろうと思われる.従つて, 環境温度の変化に対し甲状腺が反応することは, 鶏の体温生理において重要な役割を果しているもので, 生体反応におけるhomeostasisの成立の機序をなすものと考えられる.
1961-11-25

著者

大坪孝雄
Laboratory of Zootechnical Science

甲状腺機能より見たる鶏の体温生理に関する研究 : 第4報 Urethane麻酔及び麻酔後加温処理時における甲状腺I^<131>のrelease rate及び甲状腺I^<131>のuptakeの変化

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