常温低湿空気による農産物の乾燥および品質評価(第1報) : 固体吸着剤および冷却除湿方式に関する基礎実験
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概要
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本研究は常温付近でかつ極めて低い湿度の空気による農産物の乾燥能率を検討するため, それに使用する装置の開発に必要な基礎実験を行ったものである.すなわち, 固体吸着剤と冷却除湿方式を組合わせて低湿空気を発生させる場合, それぞれの除湿方式について, 実用的範囲内での除湿効率, 除湿量について検討し, 以下の結果を得た.1.供試した粒状シリカゲルに高湿度空気を強制通気した場合, 含水率35%(d.b.)を越えると吸湿能力は極端に劣えた(Fig.4).2.各堆積層ごとの吸湿量の推移を分析した結果, 各層ごとのシリカゲルが使用可能限界に達する時間T(h)と層位置Xnとの間には次の関係が認められた.T=0.75+0.725Xn 3.堆積高さを異にした場合のシリカゲルの経時的吸湿量を求め, それより実用的な吸湿効率を明らかにした(Fig.7).4.シリカゲル層を通過した空気の状態からブレーキ点を推定し, そのブレーキ点におけるシリカゲルの平均含水率は約27.5%(d.b.)付近であった.また, シリカゲル重量M(絶乾kg), 通気風量G(kg/h)とブレーキ点時間Tとの間には次の実験式が認められた.T=0.558+115.87(M/G)5.吸湿過程に発生するシリカゲルの吸着熱を経時的に測定し, ブレーキ点時間内においては, 乾燥シリカゲル1kgから約450kcalの吸着熱が発生していることが判明した.6.吸湿したシリカゲルの再生のため, 熱風通気乾燥を行い, その乾燥能率を調べ, 乾燥時間T(h)とM/Gとの間に次の関係実験式を導いた.T=0.475(M/G)^<0.726> 7.ヒートポンプのエバポレータ部における冷却除湿の性能について実験を行い, 比較的高温で高湿な外気を実用的規模で送った場合, コンプレッサ動力1kw当たり毎時1.6〜2.0kgの水分を空気中から除湿できた.これは絶対湿度で2.175×10^<-3>〜3.179×10^<-3>(kg-w/kg-a)に相当した.8.外気温度をパラメータとして考えた場合, 冷却除湿効率は外気の相対, 絶対湿度により変化し, 高温, 高湿空気からの除湿にはヒートポンプが敵していることが判明した.
- 鹿児島大学の論文
- 1990-03-15
著者
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