土壌病原菌の土壌生態学的研究 : 第2報紫紋羽病菌と非病原性土壌菌との関係

概要

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本実験では環境要素(土壌温度, 土壌湿度, 土壌pH.土壌添加物)を異にする無殺菌土壌中における紫紋羽病菌と非病原性土壌菌の消長を観察した.この結果を要約すると次の通りである.1.紫紋羽病菌の菌糸伸長適温は, 22℃から27℃である.2.紫紋羽病菌は土壌温度90%, 80%, 70%, 60%のとき生育良好となり, 特に90%区において, 最高の生育をなした.同様なことは, 他の菌類及び放射状菌においても観察された.3.紫紋羽病菌の生育に最適のpH価は7.0から6.0附近である.放射状菌はpHに関係なく日数の経過と共に増加する.これに対して, 他の菌類の菌糸はpHの如何に拘らず減少の傾向が見られる.4.有機物の土壌えの添加は, 無添加区に比べて紫紋羽病菌の菌糸, 他の菌類の菌糸及び放射状菌の生育を助長する.5.硫酸アンモニア, 硫酸加里の土壌えの添加は, 紫紋羽病菌の生育を不良とする傾向がある.6.過燐酸石灰区における紫紋羽病菌, 他の菌類及び放射状菌の生育は概して良好である.以上の結果より紫紋羽病菌と非病原性土壌菌の生育との間には, 部分的には関係を有するけれども, 一定の関係があると断定することは出来なかつた.
鹿児島大学の論文