土壌病原菌の土壌生態学的研究 : 第7報紫紋羽病菌に対する栄養源の影響

概要

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紫紋羽病菌は, ある期間, 土中において腐生栄養を行なうことから, 土壌中の栄養源の相違が, 本菌の生育に及ぼす影響を調査した.本実験の結果は次の通りである.1)殺菌土においては, サツマイモの塊根片を栄養源とした場合, 本菌の生育は最も良好で, 馬鈴薯寒天片5枚, ニンジン根片, クワ細根束が, これにつぎ, クワの茎片を用いた場合, 本菌の生育は著しく不良であつた.2)無殺菌土においては, 本菌の生育は, 一般に殺菌土の場合よりも不良であつた.無殺菌土中の各種栄養源の影響は次の通りである.i)馬鈴薯寒天片では雑菌の繁殖少なく, 本菌生育は概して良好であつた.ii)サツマイモ根片では, 本菌の生育は不良であつた.iii)クワ茎片およびクワ細根束では, 本菌の初期の生育は不良であつたが, 接種後12日頃より生育が良好になつて来た.iv)ニンジン根片では腐敗し, 本菌の生育は全く見られなかつた.3)以上の結果より, サツマイモ, ニンジンのように, 土中の雑菌に速かに利用され得るものは, 本菌が利用する前に腐敗するが, クワ茎片, クワ細根束のように土中の雑菌が利用し難いものは, 本菌が永く利用し生育を続けるのに役立つようである.
鹿児島大学の論文
1964-03-25