白絹病菌の菌核形成に及ぼす諸要素の影響

概要

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白絹病菌についていくつかの実験を試み, 下記の結果を得た.(I)sucroseとthiamineの影響1)sucrose濃度が高くなると, 菌糸生育は遅れるが菌体重は増加する.2)sucrose濃度が高くなると, 菌核形成開始時期は遅れ, 菌核数と菌核重は増加するが, 菌核数/菌体重は減少する.3)thiamine濃度0.5mg/lで菌糸生育は最も早く, 一般に高濃度の方が低濃度でよりも早い.4)thiamine濃度0.05,0.5mg/lで菌体重は最大になるが0.005〜50mg/l間であまり大きい差はない.5)thiamine濃度が高くなると, 菌核形成開始時期は早くなり, 菌核数が増加し, 菌核数/菌体重も増加する.菌核重は0.5mg/lで最大になる.6)sucroseとthiamineの濃度は均衡が保たれる必要があり, それが破れると脱菌核現象を起こし菌核形成が阻害される.(II)機械的損傷の影響1)菌糸に機械的損傷を加えると, その位置に菌核が形成される.2)機械的損傷を加えたのち残存する菌糸帯の幅が長くなると, 菌核形成価(菌核数/損傷面の長さ×菌体重)は低下する.(III)菌核抽出液の影響1)菌核抽出液は菌核形成時期を早め, 菌核形成数を増加させる.2)菌核抽出液の菌核形成促進作用は熱処理(95℃15分間)の影響を受けない.
鹿児島大学の論文
1969-02-15