医療における倫理的判断と徳性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
主要な倫理理論に基づいた倫理ガイドラインや法的規制は、極めて有用かつ重要である。しかし、時にそれらだけでは解決し得ない倫理的ジレンマが存在する。この論文では、困難な倫理的ジレンマに直面した時の、患者ケアの倫理的判断に関わる人々の持つ徳(virtue)の役割について考察する。我々が重要だと考える徳は、医療の目的、医療において患者に利益を与えられる可能性、医療に関わって自分が幸福になれる可能性という観点から導き出される。我々は、患者ケアの倫理的判断に関わる人々の持つ徳性は、判断の内容や結論ではなく、決断に至る過程に一定の指針を与えることができるという意味で有意義だと考える。そして、彼らが有徳であれば、そうでない場合と比較し、患者ケアにおいてより善い結果が生まれるかもしれない。さらに何が善いことかわからない時こそ、患者ケアの倫理的判断に関わる人々の有徳さ-善いことを行なおうとする気質-が必要とされるのではないだろうか。
- 日本生命倫理学会の論文
- 2003-09-18
著者
関連論文
- 青森県における自殺予防活動
- 内科臨床研修における剖検の有用性 -『剖検所見の内科臨床研修へのフィードバックに関する調査』報告-
- 医療従事者のための医療倫理学入門(22)遺伝子診断に関する倫理的問題--遺伝性神経難病の遺伝子カウンセリングを通じて
- 脊椎前方固定術後に仮性大動脈瘤をきたした1例
- 医学生が臨床実習中に受ける不当な待遇 (medical student abuse) の現況
- 医療従事者のための医療倫理学入門(24・最終回)判断能力に問題がある患者の診療における倫理的問題(2)
- Voluntary Euthanasia : Comparisons between Japanese Doctors and Australian Doctors about Attitudes and Experiences
- 医療従事者のための医療倫理学入門(23)判断能力に問題がある患者の診療における倫理的問題・1
- 医療従事者のための医療倫理学入門(21)人を対象とした医学研究に関する倫理的問題
- 医療従事者のための医療倫理学入門(20)人工妊娠中絶に関する倫理的問題