運動負荷心電図における房室伝導時間変動の時系列解析

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本研究の目的は,運動負荷心電図における心拍変動と房室伝導時間変動の時系列解析を行い,洞房結節と房室結節に及ぼす自律神経活動を評価することである.被験者は5名とした.心電図は連続して記録し,実験のプロトコルは3分間の安静(エルゴメータに座った状態),12分間の運動負荷,15分間の負荷後安静(椅子に座った状態)の順序とした.心電図は,15秒の重複区間を設けた上で30秒毎に分割した.次に,P-P間隔,R-R間隔およびP-R間隔を算出し,これらの間隔時系列の周波数解析を行った.運動時における心拍変動の分散,LFおよびHF成分は,安静時と比較して減少するのとは対照的に,房室伝導時間変動の分散,LFおよびHF成分は増加する傾向があった.さらに,運動時におけるP-P間隔の分散は,R-R間隔の分散よりも大きくなっていた.本研究における分散の結果は,房室伝導時間が心房の興奮リズムと比較して心室の興奮リズムの安定性を保つように変化することを示唆している.運動時における房室伝導時間変動のLFおよびHF成分は,安静時と比較して増加する傾向があったが,これらの変化が房室結節に作用した自律神経活動を反映した結果であると結論付けることはできなかった.房室伝導時間変動のLFおよびHF成分の増加は,房室伝導時間の分散の増加または洞周期変動の減少が原因であると思われる.
2006-08-25

運動負荷心電図における房室伝導時間変動の時系列解析

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