溜池におけるドブガイの妊卵頻度
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概要
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大阪府豊中市の灌漑用溜池に実験枠を設置し, ドブガイAnodonta woodiana雌の外鰓腔内の卵及び幼生の有無とその発生段階を継続観察した。A枠は1984年11月から1985年4月, B枠は1985年5月から11月の間に毎月1-2回外鰓腔内を観察した。その結果A枠には2タイプの雌が見られた。すなわち妊卵後, 比較的短期間のうちに幼生を放出するがその後は妊卵しなかった雌と, 貝内での最終発生段階の幼生を5-7回の観察(約4か月間)にわたって, 保有し続けた雌とが観察された。B枠にも, 5-6月に幼生を放出した後は全く妊卵しなかった雌と7-8月を除く期間に繰り返し妊卵した雌および期間内に一度も妊卵が観察されなかかった雌が見られた。妊卵のピークは冬から春の期間であるものの, その時期のいつ妊卵するかは, 個体によって異なる。また幼生を放出した後も妊卵を繰り返す個体があり, 夏を除いて全ての時期には妊卵個体が見られた。この結果からドブガイの雌には妊卵とそれに続く幼生の放出を短い期間で繰り返すものと, そうでないものとが存在することが示唆きれた。
- 日本貝類学会の論文
- 1988-12-15
著者
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福原 修一
梅花中・高等学校
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長田 芳和
Department of Biology,Osaka Kyoiku University
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長田 芳和
大阪教大
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長田 芳和
大阪教育大学教員養成課程理科教育講座生物学専修
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長田 芳和
Department Of Biology Osaka Kyoiku University
-
福原 修一
Minoo-daisan Junior High School
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