関東構造盆地における五日市-多摩川帯(<特集>関東構造盆地の地質)

概要

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五日市-多摩川帯(足立1994)は,秩父帯と四万十帯の地質区境界部にあらわれた狭長な凹地帯であり,関東平野中央部の溝の口向斜付近までは追跡できるが,それ以東では明瞭ではない.しかし,この構造の南縁は,地質区境界にほぼ一致しており,溝の口向斜付近以東の川崎および東京湾にかけての平野の地下にその連続性を推定できる.関東平野中央部から西部にかけての地域では,深層試錐のデータをもとにした層序対比からみると,五日市-多摩川帯をはさんだ北側の地域(秩父帯)と南側の地域(四万十帯)では,中新世以後の海進・海退の時期などが異なっており,堆積環境のちがいもみられる.これは,秩父帯と四万十帯では,関東構造盆地の地域での動きが異なることを示しており,とくに西部でこのことがよくあらわれている.また,堆積中心の移動は,北側地域では前〜中期中新世以降に南から北へ,南側地域では後期中新世以降にやはり南から北へと移動する傾向にある.五日市-多摩川帯は時代を異にした堆積移動の場のちょうど境界に位置している.
地学団体研究会の論文
2006-01-25