保育における育ちをとらえる視点に関する一考察 : 「つなぐ」行為から
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概要
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本研究では、第1に"育ち"という言葉を巡って、何が保育現場に混乱をもたらすのかについて具体的な事例を通して考察するとともに、この論における"育ち"の定義を明らかにしながら、保育における育ちの特質について明示した。第2に、子どもの育ちを感じる時、そこに、物理的なつながりが形成されたり、因果がつながること、感情がつながることなど、様々なつながりがりが形成されているという前提に立ち、"つなぐ"行為と"育ち"の関連について明らかにした。第3に、子どもが"育つ"ためには、子ども自身の内なる世界に、様々なつながりが形成されていくという前提に立ちながら、次の3つの観点より、子どもの育ちを保障する保育の手立てや保育者の援助の視点についてとらえた。(1)1歳から2歳頃までの子どもが、自分の心に気づいたり、相手の心の動きに応じていくその過程をつなげてとらえるとともに、そうした子どもの育ちを確認する際に、子どもの行為をつなげて解釈することが保育の場で重要になることを確認した。(2)保育の場で子どもがモノや人と具体的にかかわって活動することが、同時に対象との内面のつながりをも創っていくこと、そして、子どもが創る内面のつながりが、社会性のみならず、自我や自己をコントロールする力の育ちにつながっていることを確認した。(3)保育という場、および家庭という子育ての場が、お互いにひとりの子どもの育ちを喜びあえる関係を形成していく過程で、家庭連絡帳が有効な手立てになるについて言及した。
- 中部学院大学の論文
著者
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