乳房外パージェット癌の実験動物モデルの樹立

概要

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乳房外パージェット病および極めて予後の悪いパージェット癌の治療開発に役立てるため,実験動物モデルの作成に着手した。材料には64歳男性の陰嚢部に生じた乳房外パージェット病の病変部を用い,severe combined immunodeficiency disease (SCID)マウス背部に植皮した。病変組織は4匹のSCIDマウスのうち1匹に生着,その後徐々に皮下腫瘤を形成。5か月目には拇指頭大にまで増大。腫瘍は組織学的には腺癌の形態を呈し,しかも多臓器転移を来していた。免疫組織化学的検索では腫瘍組織はCEAに一部が陽性,CAM5.2陽性であった。また,ヒトHLA-DRのDNAタイピングを,患者末梢血とマウスに生じた腫瘍塊とで比較したところ,いずれもDR4,DR9が検出され,同一のパターンを示した。今回作成した動物モデルは,患者の乳房外パージェット病の性格をある程度温存しており,進行期乳房外パージェット癌の治療開発のための動物モデルとして期待される。
北里大学の論文
1997-10-31