棚田保全関係者の意識と行動 : 石川県白米千枚田を対象として
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概要
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近年,棚田の多面的機能は重要視され,全国的に維持・保全活動の動きが出てきたが,一方で高齢化・後継者不足等の諸問題が年々深刻化し,保全が困難な状況になりつつある.石川県輪島市の白米千枚田も,このような危倶が持たれている棚田の一つである.こうした中,ボランティアへの依存が今後さらに高まることが予想される.そこで本稿では,白米千枚田の主な保全関係者である,農家・市役所を対象に聞き取り調査,現在ボランティアに参加している人々を対象にアンケート調査を実施し,棚田保全に関する意識を定量的に解明し,今後の保全活動のあり方について検討を行った.聞き取り調査の結果からは,ボランティアが白米千枚田の保全にとって,大変重要な存在となっていることが確認された.また,アンケートの集計結果より,各組織単位でもボランティア個々においても今後活動を続けていく意向があるということ,ボランティア活動の「楽しさ」と棚田景観の「美しさ」が今後の保全活動の原動力となっていること,また,ボランティアの参加意欲においても棚田景観を美しいと感じていることに深く関わっていること,が明らかとなった.これらのことから,参加のきっかけは組織的なものであるにせよ,白米千枚田の景観美が,ボランティアによる保全活動を支える要因となっているといえよう.棚田保全活動を一層強固なものにするには,この要因を効果的に取り入れた保全策を講じていくことが重要である.
- 2003-03-29
著者
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