造園樹木の根系の形態に関する研究 : ヒュウガミズキ,アジサイ,コデマリについて
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概要
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ヒュウガミズキ,アジサイ,コデマリの根系の形態をトレンチ法によって調査し,それらを前2報で報告した高木ないし中木6種(スギ,マテバシイ,ニセアカシア,イヌマキ,モクレン,サンゴジュ)と比較考察した.上記の低木3種の根の分布域の大きさは,地上部の大きさとの相対的関係において,上記の高木ないし中木6種に比べてより大きいものである.一方,これち低木3種の根密度はいずれも低く,上記の高木ないし中木6種の中で最も低いスギに近いものであった.ヒュウガミズキとアジサイの細根数/太根数の値は,移植の難しいマテバシイやモクレンとほぼ同じで,太根1本当りの細根数が少ない樹種に含まれる.これに対して,コデマリの細根数/太根数は,スギ,サンゴジュ,ニセアカシアとほぼ同じで,上述の9種の中では中間的な値を示す.次に,太根の平均直径をみると,低木で低く,高木で高い傾向がみられる.この傾向からはずれるのが,スギの太根の際立った細さであり,また逆にその傾向を目安とするとそれより太い傾向をもつのがマテバシイとモクレンの太根である.より太い太根とそこから出る細根の少なさは,いわゆる棒根の特徴であり,これら2つの特性が重なって移植を難しくするものと考えられる.根系の垂直,水平分布をそれぞれ浅根型,中間型,深根型と,根元集中型,中間型,水平分散型の3つに区分すると,ヒュウガミズキの根系は垂直分布では浅根型であるが,水平分布では個体差が大きく型を特定することができなかった.これに対して,アジサイは深根型で,水平分布は中間型であった.また,コデマリは垂直,水平分布ともに中間型であった.移植の難易という観点でこれらの根系型を評価すると,ヒュウガミズキI,IIが属する浅根性・根元集中型が最も容易と考えられ,逆にマテバシイが該当する深根性・水平分散型が最も難しい根系タイプと考えられる.
- 1988-03-18
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