造園樹木の根系の形態に関する研究 : スギ,マテバシイ,ニセアカシアについて
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概要
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トレンチ法を使って,スギ,マテバシイ,ニセアカシアの根系を調査した結果,3樹種に共通していえることは,太根はA,B断面に,細根はA断面により多いことである.このことは,太根では,根元からやや下向した放射根とそれから直角方向に水平的に分岐した根がより多いことを示し,細根では上記の根元から放射状に伸びた太根ないし細根から直角方向に水平的に分岐した根がより多いことを示している.また,各樹種の根系の特徴は次のようである.まず,ニセアカシアは典型的な浅根性樹種といえる.次にスギは他の2種に比べて著しく大きな根系をもっているが,太根の平均直径と,根密度ではそれらの半分程度の値である.したがって,スギの根系は比較的細い根が疎らに大きく広がったものであるといえる.マテバシイの根系では,細根の分布が特徴的で,垂直,水平分布ともに中間的な位置に分布のピークがある.また,太根と細根の割合をみると,スギやニセアカシアに比べて太根の割合が高い.以上2つの特徴はマテバシイの移植が困難なことの原因のひとつと考えられる.マテバシイのもうひとつの特徴は,スギやニセアカシアに比べて根系の先端部においてより先まで太根が存在することである.ニセアカシアの根系は,地上部との形態的関係や,垂直的広がりと水平的広がりとの割合から考えて浅根性の典型と考えられる.なお,スギとマテバシイの根系は一般に深根性といわれるが,図3に示したような形態的特徴をさらに検討してから深根性の定義づけを行なう必要があるようである.
- 千葉大学の論文
- 1984-12-25
著者
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