落花生の空莢に関する研究 : 第1報 空莢の原因に就いて
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概要
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火山灰土に於ける落花生の空莢生成の原因を明にする為に,水耕法,鉢試験,圃場試験等によつて,空莢の生成と無機成分との関係,空莢の生成と灌水,土寄せ,堆肥施用との関係,空莢の生成と石灰施用場所との関係,空莢の生成と品種間差異等について試験した.その成績の概要を示すと次の如くである.(1)落花生の充実に最も効果のある成分は石灰である.苦土の効果は余り明確でないが,あるにしても大きくはない.燐酸と加里の多施の影響は明でない.(2)灌水,土寄せは落花生の石灰の吸収を増加する.また空莢の減少に効果がある.堆肥施与の効果は明でない.(3)千葉中粒43号,千葉中粒55号,立らくだ,バレンシャは空莢になり易く,ジャワ13号は空莢になりにくい.千葉小粒は両者の中間にある.(4)石灰を結実圏に与えないと充実がよくない品種と,根圏,結実圏の何れに与えてもよく充実する品種とある.千葉中粒43号,バレンシャは前者に属し,ジャワ13号は後者に属する.(5)莢殻の石灰含量と空莢の生成との間には密接な関係があるようである.(6)本土壤の空莢生成の主因は可給態石灰の欠乏にあると考える.尚土壤の乾燥も落花生の石灰の吸収を妨げ,間接的な原因を為すものと思う.終りに本研究に対し,各品種の分譲を賜つた千葉県農事試験場の種芸部に厚く感謝する.本研究は昭和26年「火山灰土に於ける落花生の空莢と養分との関係について(第1報)」,昭和27年「火山灰土に於ける落花生の空莢に関する研究(第2報)無機成分との関係」,昭和28年「同(第3報)栽培管理との関係」,昭和29年「同(第5報)石灰の吸収について」と題し日本土壤肥料学会講演会に於いて発表したものである.
- 千葉大学の論文
- 1954-09-30
著者
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