ガン保険における乾癬の評価 : 乾癬治療に伴う発癌リスクについて
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概要
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しばしば告知書で乾癬という病名をみる。乾癬においてはステロイドやビタミンD3製剤などの外用療法,PUVA療法に代表される光線療法,レチノイド療法,シクロスポリン(CYA)療法など種々の治療がある。これら乾癬の治療には種々の副作用があるが,がん保険においては治療に伴う発癌性が特に重要である。教科書的に(PUVA療法などの)光線療法やCYA療法では発癌リスクがあるといわれている。一体,乾癬で光線療法やCYA療法を受けている場合,一律にガン保険の受理は難しいのであろうか。そこで本稿では乾癬治療における発癌リスクを文献的な知見をもとに考察した。外用薬のみで長期間コントロールされている場合は発癌に関しては問題ないであろう。注意を要するのはPUVA療法やCYA療法を受けている場合である。文献的に,PUVA療法が400回あるいは総照射量1,000J/cm^2を超えないときの発癌リスクはきわめて少ないが,それを超える長期間のPUVA療法では皮膚癌の発生の危険は考慮せねばならない。特にCYA療法とPUVA療法の併用あるいはPUVA療法後のCYA療法においては皮膚癌の発生率が高い。CYA療法における本邦の発癌リスクに関するエビデンスはきわめて少ない。理論的および実験的にCYAの発癌リスクは無視できず,ガン保険の引受けには慎重を要す。しかしながら,これまでのいくつかの報告によればCYA療法中の皮膚癌の発生は高いが内臓癌のそれは必ずしも高くない。別の見方からすればCYA療法の場合,皮膚癌のリスクを不担保などにより回避すればおよそのリスクは避けられるであろうと思われる。
- 日本保険医学会の論文
- 2003-12-17
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