前立腺に対する焦点式高エネルギー超音波療法の基礎的・臨床的検討

概要

論文の詳細を見る
焦点式高エネルギー超音波療法の効果につき検討するため,犬前立腺に対し経直腸的プローブを用いて照射し,照射直後から照射後57日目まで経時的に前立腺を摘出し病理組織学的に検討した。その結果,照射直後から7日目は照射部に一致して出血壊死巣が認められ,41日目から57日目では照射部に一致して空洞が認められた。つまり本療法は,治療領域の温度が約70〜90℃の高温にまで上昇することにより組織の破壊,空洞を形成するとともに,選択された領域のみに治療範囲を限定できた。臨床的検討として閉塞症状を有する前立腺肥大症症例9名に対して本治療が行われ,術前術後のAmerican Urological Association Symptom Score,最大尿流量率,残尿量について評価が行われた。その結果,3か月後に9例中8例が有効(有効率は88.9%)であった。また術後合併症は認めなかった。以上より,本治療法は前立腺肥大症に対して安全かつより侵襲の少ない治療法として期待できると考えられた。
北里大学の論文
1994-08-31