膀胱癌における各種尿路変更術とQOLに関する検討
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概要
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1971年8月から1992年3月までに北里大学病院泌尿器科で膀胱癌の診断のもとに膀胱全摘術および尿路変更術を施行した95症例に対して、その臨床像と生存率を検討し、併せて生存者に対してのQOLに関するアンケート調査を行った。尿路変更術の内訳は、尿管皮膚瘻造設術27名(I群)、回腸・結腸導管造設術45名(II群)、代用膀胱造設術23名(III群)であった。手術時の年齢は29〜76歳(平均60.6歳)、男性68名女性27名であった。膀胱癌の組織型は移行上皮癌82名、扁平上皮癌8名、腺癌4名、移行上皮癌と扁平上皮癌と腺癌との混在型1名であった。生存者はI群14名、II群27名、III群16名計57名(60.0%)で、実測5年生存率はI群45.2%、II群54.1%、III群56.8%であった。生存者に対するQOLについてのアンケート調査の結果、全例で尿路変更術後の基本的な日常生活は改善し順応していたが、趣味、旅行、仕事など一歩進んだQOLは術前より低下していた。III群では、入浴と仕事に関しては他群に比べても術前に比べても良好な結果であり、全体的満足度も高かった。尿路変更術のQOLを少しでも低下させないためには、術前の十分なインフォームドコンセントと患者に対立る精神的支援が重要であり、さらに術式の工夫が必要であると思われた。
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1994-04-20
著者
-
宇都宮 拓治
北里大学医学部泌尿器科
-
内田 豊昭
北里大学医学部泌尿器科
-
青 輝昭
北里大学医学部泌尿器科
-
小柴 健
北里大学医学部・泌尿器科学
-
青 輝昭
北里大学 医学部泌尿器科教室
-
青 輝昭
北里大学北里研究所メディカルセンター病院 泌尿器科
-
青 輝昭
北里大学医学部・泌尿器科学
-
足立 功一
北里大学医学部泌尿器科学教室
-
横山 英二
北里大学医学部・泌尿器科学
-
藤野 淡人
高木病院
-
藤野 淡人
北里大学医学部
-
向井 伸哉
北里大学医学部・泌尿器科学
-
向井 伸哉
北里大学医学部泌尿器科
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