男性の尿失禁に対する人工尿路括約筋AMS 800型設置手術の臨床評価

概要

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(背景と目的) 人工尿路括約筋AMS800型はシリコン製の極めて簡素がつ効率のよい水圧式装置であり, 尿失禁に対する治療法の一つとして, その有用性は欧米諸国を中心に広く認められている.今回, 男性尿失禁11症例に対して施行したAMS800設置手術の治療成績について検討したので報告する. (対象と方法) 尿失禁のタイプは真性尿失禁9例 (82%), 溢流性2例であり, いずれの症例も薬物療法が, また, 2例でテフロンペースト注入療法, 1例で尿道吊り上げ術がそれぞれ複数回試みられていた.原因別には前立腺手術後が8症例 (73%) を占め, 脊髄髄膜瘤, 脊髄損傷, 骨盤外傷が1例であった.カフの設置部位は, 尿道球部が9例, 振子部が1例, そして膀胱頸部が1例あった. (結果) 設置手術後の経過観察期間は3週から75ヵ月で, プロステーシス感染症のため摘除手術を行った3症例を除くと, 平均56ヵ月であった.AMS800の設置後, 5症例 (45%) で完全に尿の禁制が復活し, 4例 (36%) で1日1枚のナプキンを要する程度の改善が認められた.しかし, 1例で不変との評価がなされ, 他の1例は装置の作動前に摘除がなされたため, 判定不能であり, 従って, 9症例 (81%) で本法の有用性を認めた.プロステーシス感染症をきたした3症例 (27%) を除いては, 他の合併症や装附の故障は経験されなかった. (結論) 人工尿路括約筋AMS800は耐久性, 安全性に優れ, 各種治療法で奏効が得られなかった症例においても, 設置手術の適応に誤りのない限り, その有用性は極めて高いと考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1995-12-20

男性の尿失禁に対する人工尿路括約筋AMS 800型設置手術の臨床評価

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