経尿道的前立腺切除術後に発見された偶発性前立腺癌の病理組織学的検討

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経尿道的前立腺切除後に発見された110例(4.7%)の偶発性(stage A)前立腺癌について病理組織学的に分化度および腫瘍組織チップ数と予後との関係について検討した。患者1人あたりの平均鏡検スライド枚数は3.3枚で1スライドあたり15.5チップ,1症例につき平均50.9チップ(11〜240チップ)を検索した。110例を分化度別,腫瘍チップ別および分化度と腫瘍チップ数を組み合わせ,それぞれの10年生存率を検討したところ,最も高値を示したのは,高分化型でかつ腫瘍チップ数が切除チップの5%以下である2チップ以下の群が69%,ついで1チップ群69%,高分化型群56%,Gleason合計スコア2〜4群56%,2チップ以下群56%という順であった。また死亡例は110例中34例で,その内訳は癌死13例(38.2%),他癌死11例(32.3%),他病死7例(20.5%)と前立腺癌死以外が約60%を占めていた。癌死13例の腫瘍チップ数は3チップ,9チップが各1例で,他は全て10チップ以上であった。経尿道的前立腺切除後に発見されるstage A前立腺癌(偶発性前立腺癌)において,stage A1とA2はその予後にいちじるしい差が認められる。その際の分類法としては単に分化度のみから診断するのではなく,腫瘍チップ数を組み合わせて分類することが,より予後を反映すると思われる。
北里大学の論文
1991-02-28

経尿道的前立腺切除術後に発見された偶発性前立腺癌の病理組織学的検討

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