膀胱腫瘍に対する術後3日間低濃度制癌剤持続膀胱内注入療法の検討
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概要
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膀胱腫瘍に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術後の再発予防策として,制癌剤による膀胱内注入療法は広く施行されるに至っている。しかし通常施行されている制癌剤濃度では,注入後の膀胱刺激症状がしばしば強度に出現する。著者らは,過去7年間に,表在性膀胱腫瘍に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術に際しての腫瘍細胞の散布および着床による再発の予防や副作用の軽減を主たる目的として,術後3日間の低濃度制癌剤による持続膀胱内注入療法を施行してきた。症例数は81例で,うち30例に Mytomycin-C (MMC),34例に Bleomycin (BLM),17例に Adriamycin (ADM)による膀胱内注入療法が施行された。MMC, BLMおよび ADM はそれぞれ生理食塩水2,000mlに40mg,120mg,100mgの割合で混入し,術直後から72時間持続的に3-way catheterを使用し膀胱内注入を施行した。その結果,コントロール群(68例)の5年再発率が61%であったのに対し,MMC群の5年再発率44%,BLM群の5年再発率28%,ADM群の5年再発率30%と,各群ともにコントロール群に比較し顕著な再発率の低下が認められた。副作用としては,ADM群において術後血尿の増強が認められたため,膀胱内注入療法の中断を要した症例が2例あったのみで,膀胱刺激症状などの訴えは全例に認めなかった。本法は,膀胱腫瘍に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術後の再発予防法として有用と思われた。
- 北里大学の論文
- 1987-02-28
著者
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