マヤプシキ(Sonneratia alba)の葉のガス交換特性とNa^+含量
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
マングローブ樹種の中で塩分濃度の高い潮間帯地域に自生するマヤプシキを対象に,その著しく高い耐塩機構を解明するため,葉身のガス交換,水ポテンシャル,イオン・窒素吸収特性を調査した.次に,マヤプシキの幼齢木にNaCl処理を加え,"光-光合成曲線"と"CO_2-光合成曲線"を調べ,自然条件下の測定結果と比較しながらガス交換特性を種々検討した.1.マヤプシキの光合成速度は,他種と比較して著しく高く,20 μmol m^<-2>s^<-1>前後であった.また,光飽和点は,1500 μmol m^<-2>s^<-1>付近にあり,光合成最適温度は35℃付近にあった.2.マヤプシキのガス交換の日変化についてみると,光合成速度は,午前8時には最大値をとり,光強度が低下する午後6時まで一定に推移した.気孔伝導度及び蒸散速度は,正午に最大値を示し午後からは徐々に低下した.従って,1日の水利用効率は,午前と午後に高く蒸散速度の最大値を示す正午で低かった.葉内CO_2濃度は,日中ほぼ一定であり,CO_2固定系の活性が維持されていた.3.水ポテンシャルは,夜明け前の-0.8MPaから午後4時の-2.9MPaまで大きく低下しその後上昇した.しかし,水ポテンシャルの低下に伴う光合成の低下はみられず,葉のクロロブラスト内の浸透圧調節機構の充実度が高いことが予想された.4.マヤプシキの光合成速度をA/Ciカーブの初期勾配でみると,0mM及び400mM区よりも100mM区で高く,CO_2固定系が活性化されていることが認められた.しかし,CO_2濃度が350ppmの時の水利用効率は400mM区が最も高く,塩濃度が高い場合水を有効に利用していることが認められた.5.マヤプシキの根は,幼齢木の段階ですでに塩分排除機能を有しており,壮齢木,若齢木に比べて高い水ポテンシャル及び高い気孔伝導度及び蒸散速度を示した.マヤプシキ幼齢木の葉身には,壮齢木に比べ1.8倍のNa^+が含まれ,K^+は低く,K^+/Na^+比は低かった.マヤプシキの葉には浸透圧調節物質であるグリシンベタイン及びプロリンの蓄積は認められなかった.
- 2003-12-01
著者
関連論文
- 知能的太陽光植物工場の新展開(4)亜熱帯拠点の課題
- リブロース-1.5-ビスリン酸カルボキシラーゼ活性の分光光度法を用いた測定法の改良
- 110 リブロース1, 5ビスリン酸カルボキシラーゼの分光光度法の改良
- 高 CO_2 濃度がファレノプシス(コチョウラン)の Crassulacean Acid Metabolism に及ぼす影響(生物生産学科)
- サヤインゲンの花蕾の浸透ポテンシャルにおよぼす高温の影響
- イネにおける生殖生長相の品種間差異について : 自然日長と短日処理による違い
- 塩ストレス下における個葉の光合成特性からみた野生稲O. latifolia Desv.の耐塩性
- 気相型酸素電極法によるパインアップル培養植物体の CAM 型光合成の評価
- 72 伸長抑制剤(ウニコナゾールP)がサトウキビ(___- sp.)の糖蓄積に及ぼす影響
- 97 伸長抑制(ウニコナゾールP)が春植えサトウキビNiF4の登熟に及ぼす影響
- P-22 地下部特性と葉の光呼吸速度がサトウキビの初期の乾物生産に与える影響
- 分光反射特性によるサツマイモの塊根部重量推定に関する基礎研究
- イネ科C_3, C_4植物における光合成および水利用効率の制御と気孔密度および維管束間距離の関係
- サトウキビ初期生育における根の種類・量と生育量に関する研究
- NIRとGISを用いたサトウキビの高品質化支援情報システムの開発(第3報) : GISによる品質情報およびカリウム含量のマッピングとその利用
- サトウキビ生育の極初期段階におけるバイオマス生産特性(栽培)
- エピデンドラムのCAM型光合成特性と沖縄におけ栽培環境
- サトウキビを主体にした島嶼農業の再生とバガスの炭化
- 宮古島の暗赤色土における土壌蓄積リンの再生・循環利用に関する基礎的研究II
- Heterosis in Temperature Responses of Photosynthetic Characters in F_1 Hybrid Rice
- 宮古島の暗赤色土における土壌蓄積リンの再生・循環利用に関する基礎的研究
- NIRとGISを用いたサトウキビの高品質化支援情報システムの開発(第2報) : 蔗汁のカリウム含量計測システムの実用化に関する研究
- NIRとGISを用いたサトウキビの高品質化支援情報システムの開発(第1報) : NIRによる蔗汁カリウム測定の可能性
- 生長・乾物生産からみた野生稲Oryza latifolia Desv.の耐塩性
- Non-destructive Estimation of Water Status of Sugarcane Leaf Using Spectral Reflectance Measurement
- シンポジウム2 スーパークロップは可能か(3)(日本作物学会第217回講演会ミニシンポジウム)
- NIRとGISを活用した効果的なサトウキビ営農支援情報システム
- 葉身の浸透圧調節能力からみた野生稲Oryza latifolia Desv.の耐塩性
- CO_2交換速度,O_2放出速度,クロロフィル蛍光を用いたマングローブ樹種の光合成特性の比較
- サトウキビの生産支援情報システム構築に関する研究
- 123 C_3,C_4植物の分布に関する種生態学的研究 : 第6報.アフリカ大陸におけるイネ科C_3,C_4植物の地理的分布について
- 122 イネ科植物葉内部組織の形成に関する研究 : 第II報.葉身内部組織の形成過程の追跡(2)
- 121 イネ科植物葉内部組織の形成に関する研究 : 第I報.葉身内部組織の形成過程の追跡(1)
- 野生サトウキビ(Saccharum spontaneum L.)を含む数種サトウキビ属における葉身のガス交換特性の変異
- 14 サトウキビの栽培に関する研究 : 第2報 灌水が夏植えのサトウキビの養分吸収特性に及ぼす影響
- 13 サトウキビの栽培に関する研究 : 第1報 灌水が夏植えサトウキビの生育特性に及ぼす影響
- 温度感応性雄性不穏系統を用いたF_1雑種稲の異なる生育時期における光合成形質および形態的特性のヘテロシス
- 69 異なる窒素濃度下におけるイネの塩処理に対する光合成反応
- パインアップルの明期における気孔閉鎖を制御する要因について
- 連続明期と温度変化がパインアップルの CO_2 交換速度及び気孔伝導度の日変化に与える影響
- CAM植物における明期の光合成の制御 : 気相型酸素電極および補償型赤外線CO_2分析装置による評価
- 沖縄産マングローブの葉の光合成速度及び水ポテンシャルに及ぼす NaCl 濃度の影響(生物生産学科)
- サトウキビ葉身の光合成速度及び気孔伝導度に及ぼす各種環境要因の影響(生物生産学科)
- 80 黒糖に含まれる無機成分の変異と食味に関する研究
- サトウキビの簡易栄養診断に向けた葉身窒素含量の近赤外測定法の開発
- P-21 GISによる北大東島の作物必要水量と効果的な灌漑の評価
- P-20 サトウキビの糖度向上に関する作物,土壌,生産システム学的研究 : 第14報 NIR-GIS結合システムによる糖度向上の支援
- P-19 サトウキビの糖度向上に関する作物,土壌,生産システム学的研究 : 第13報 北大東島全圃場の蔗汁成分の分析とマッピング
- 高解像度衛星画像を利用した圃場モニタリング・生産支援情報システムの開発 : 第1報 リモートセンシングの可能性の検討
- 28 サトウキビの糖度向上に関する作物,土壌,生産システム学的研究 : 第6報. GIS(地理情報システム)の情報収集システムとしての衛星 : リモートセンシング
- P-60 エピデンドラムのCAM型ガス交換に及ぼす温度と光強度の影響
- 水ストレスがデンドロビウム (Dendrobium Ekapol cv. Panda) の Crassulacean Acid Metabolism 型光合成に及ぼす影響
- 日長がデンドロビウム (Dendrobium Ekapol cv. Panda) の Crassulacean Acid Metabolism 型光合成に及ぼす影響
- 植物体中の各種イオン動態からみたマングローブ 3 種の耐塩性の比較
- 品質取引後における北大東村サトウキビ作の経営改善に関する基礎的研究
- マヤプシキ(Sonneratia alba)の葉のガス交換特性とNa^+含量
- 葉面飽差の違いがサトウキビの光合成特性に及ぼす影響
- マングローブ3樹種の葉のガス交換特性に与えるNaCl濃度および環境要因の影響
- P-38 サトウキビの糖度向上に関する作物,土壌,生産システム学的研究(第8報.NIRを用いた土壌成分の迅速計測システム開発)
- P-37 サトウキビの糖度向上に関する作物,土壌,生産システム学的研究(第7報.GIS(地理情報システム)を利用した北大東島の生産構造の解析)
- GIS(地理情報システム)を利用した生産支援情報システムの開発 : 第3報 北大東島の事例研究
- 葉身のガス交換速度と気孔との関係 : 第1報 イネ科C_3, C_4植物の気孔密度および孔辺細胞長
- 「バイオ・エコシステムプロジェクト」 : モンスターケーンの養分吸収特性と光合成速度
- 近赤外線分析装置(NIR)による作物の有効成分非破壊計測に関する基礎的研究
- マングローブカルスにおける増殖培地の検討
- 「バイオ・エコシステムプロジェクト」 : バガス炭施用がサトウキビ畑の物理性に与える影響
- NIRを利用した土壌成分の迅速簡易分析システムの開発 : (第1報)測定可能性の検討
- NIRを利用した蔗汁の多成分迅速計測システムの開発 : 第2報 測定可能性の確認
- 28 サトウキビの栽培に関する研究 3. 木酢液と木炭の混合物 (サンネッカE) が株出しサトウキビの乾物生産特性、原料茎収量及び蔗糖収量に及ぼす影響
- 栽培方法がサトウキビの収量に及ぼす影響(農学科)
- 地球温暖化抑制バイオ・エコシステムに関する基礎研究 : 第1報 システムの基本概念とバガス余剰化の検討
- 116 気相型酸素電極法によるCAM植物の温度-呼吸反応の評価
- P-25 過剰なカリウム施肥がサトウキビの産糖量に及ぼす影響
- 第 2 報 緩照射の場合(ガンマ線照射によるセイロンベンケイソウの CAM/C_3 型光合成突然変異株の作出)
- 第 1 報 急照射の場合(ガンマ線照射によるセイロンベンケイソウの CAM/C_3 型光合成突然変異株の作出)
- 高 CO_2 濃度が CAM 型植物のガス交換速度と CO_2 収支量に与える影響
- 32 水ストレスがサトウキビの光合成および光合成酵素に及ぼす影響
- P-29 異なる塩処理下における野生イネの窒素吸収と光合成反応
- 窒素処理がサトウキビの成長と光合成速度に与える影響
- 8 サトウキビの糖度向上に関する作物, 土壌, 生産システム学的研究 : 第5報 GIS(地理情報システム)による圃場生産能力の評価
- マンゴー果実の糖度,有機酸および各種成分の非破壊計測
- 132 サトウキビの糖度向上に関する作物, 土壌, 生産システム工学的研究 : 第2報. カリ処理がサトウキビ茎の糖度に及ぼす影響
- カリウム肥料成分の違いがサトウキビの収量および糖度に与える影響
- 水稲の出葉転換点と乾物分配
- 沖縄型植物工場に関する開発研究 : 第1報. 太陽光ダクト光源下の光合成速度
- ヤトロファの光合成特性に関する研究
- 7 サトウキビの糖度向上に関する作物, 土壌, 生産システム学的研究 : 第4報 NIRを利用した蔗汁の多成分迅速計測システムの開発
- 131 サトウキビの糖度向上に関する作物, 土壌, 生産システム工学的研究 : 第1報. 南大東島, 石垣島における甘蔗糖度と各種元素との関係
- 土壌CO_2プロファイル日変化に及ぼす要因
- 土壌 CO_2 efflux がソルゴー群落CO_2プロファイルに与える影響
- ヤトロファ搾油残渣の利用および無毒化に関する研究
- 1. 気孔密度,維管束間距離改変による光合成速度向上(ミニシンポジウム(2) : 「スーパークロップは可能か(3)」)
- サトウキビの増産と光合成機能を利用した地球環境調節
- Ci- 光合成曲線を用いたサトウキビ葉身の光合成速度に対する支配要因の解析
- 68 サトウキビ個葉の"光-光合成曲線"はCO_2収支量では飽和型になる
- 短日処理が水稲数品種の出葉転換点及び出葉速度に及ぼす影響
- 沖縄県産各種種子の脂肪酸特性と熱量評価について
- 根系へのCO_2施肥がイネの成長および地上部ガス交換特性に与える影響
- ライン光センサーを用いた群落階層別光量子密度の日変化計測