高 CO_2 濃度がファレノプシス(コチョウラン)の Crassulacean Acid Metabolism に及ぼす影響(生物生産学科)

概要

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本研究では, ファレノプシスの生育, 生産を高めるために成長に直接関係のあるCO_2ガス交換に着目してその最適条件を決定し, さらに, 高炭酸ガスの影響についても解析し, CO_2施肥の問題点について検討した。得られた結果の概要は以下の通りである。1. ファレノプシスはそのCO_2吸収パターンからCAM植物であることがわかった。また, 明期においてCO_2吸収のほとんど見られないSuper-CAM型に属していた(図1,2)。気孔伝導度においても明らかにCAM型特有の日変化を示し, CO_2交換速度は気孔伝導度と密接に関係していた。2. ファレノプシスのCO_2交換速度は明/暗期温度が30/20℃, 30/25℃, 25/20℃の時, 光強度が15klx付近で飽和に達した(図3)。3. 明/暗期温度の組み合せによって1日の収支量にかなりの違いが認められ, 25/20℃において収支量は最大値を示した(図4)。4. CO_2濃度を上昇させると, CO_2交換速度は700ppmまでは増加傾向にあり, それ以上の濃度では変化はみられなかった。1日の収支量は主としてPhase1に依存していることがわかった(図5,6)。5. 350ppmから1,400ppmに変化させると葉内リンゴ酸含量も増加した(図7)。高CO_2濃度下では, 暗期ではPEPCase活性の増加が見られたが明期では逆に低下した(図8)。
1995-12-01