対立構造としてのアメリカ外交 : 孤立外交と革新主義
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概要
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アメリカのパトリオティズムは、対立構造の上に成り立っている。「聖書に基づく国家」として建設されたアメリカは、「民族」ではなく「宗教」をもとにできあがった理念国家であり、その建国の精神は Franklin の理神論から Emerson の「自己信頼」へと受け継がれ、ソーシャル・ダーウィニズムの影響を経て、「明白な運命」による領土拡張に思想的論拠を与えた。フロンティア時代、アメリカは、「地理的な安全保障」のもと、アメリカ=善VSヨーロッパ=悪の二項対立を基本的概念としつつ「移民」を排斥し閉じた形での国家をまとめ上げ、モンロー主義を行動規範としながら「西半球」というアメリカ独自の領域を築き上げた。フロンティア後では、この図式はアメリカによるヨーロッパの教化という開かれた形で現れ革新主義の原動力となり、第二次世界大戦後、トルーマンのもとでモンロー主義の「西半球」が「西側」へと読み替えられたと言える。対立概念を常に持ち「祝祭」としての戦争を伴いながら構造秩序を保ち続け、ヨーロッパ「ではない」というネガティヴな形でしか存在し得ないアメリカニズムを分析することは、今後のアメリカ主導の国際社会を考える場合重要なのである。
- 2004-03-15
著者
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