視点人物のwonder : Daisy Millerの冒頭における様々な出会い
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概要
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この論文の目的は,Henry Jamesの代表的な中編Daisy Millerの冒頭を分析し,Jamesのこの作品における視点人物の特徴について考察することである。Jamesのこの作品におけるもくろみは,視点人物の二元論的な視点を通じて,様々な「問いかけ」を設定することにある。アメリカからの若い離脱者Winterbourneは,二項対立的な視点からDaisyの反復的な行動を観察する。彼の判断の材料はDaisyの顔やtoneである。そして,彼の判断の及ばないような彼女の常に変化している部分に当惑し,これを合理化し,彼女を彼にとって理解可能な人間像に作り上げる。Daisyを疎外するのは,ヨーロッパの風景や閉鎖的な社交界のみならず,利己的なWinterbourne自身の視点なのである。Winterbourneの視点はこの作品を通じて成長することはない。この作品は常にヨーロッパ娘をstudyし続ける彼で始まり,終わるのである。しかしながら,この作品において重要なのは,そうしたプロットそのものにあるのではなく,Jamesの全ての作品に特徴的な,視点人物の「問いかけ」であり,反復的な行為の中で視点人物がどのようにwonderを増幅させてゆくか,という点にあるのだ。
著者
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