『源氏物語』と催馬楽「道の口」 : 浮舟と遊女
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概要
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『源氏物語』には多くの催馬楽がとりこまれることについては、すでに諸先学の指摘があり、論者じしんもかつて検討を試みたことがある。なかでも第三部の物語では催馬楽が巻名にもなっており、とりわけ浮舟の物語との関わりは深い。ここでは、この浮舟の物語と催馬楽「道の口」をとりあげて考察を試みる。『源氏物語』で、明らかに「道の口」がみられる部分は浮舟巻にあり、手習巻にもそうではないかと指摘されてきた部分がある。それらの叙述をいま一度たどり、検討し直してみれば、やはり、両巻の当該場面は催馬楽の詞章をふまえた描写であると確認される。歌謡としての「道の口」の詞章を、時代背景をも視野に入れつつたどりみるならば、それは遊女を謡ったものであると考えられる。その遊女性が浮舟の物語に掬いあげられているのではないか。浮舟の造型には遊女性が付与され、場面にもそれが及んでいるのではないかという試案を提示するのが、本稿の目的である。
- 2002-03-15
著者
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