ヘルメット着用に関する学生運転者の意識と実態

概要

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学生を対象として運転時のヘルメット着用に関する質問紙調査を実施した。原動機付自転車のヘルメット着用義務が規定される前後の, 自動二輪車及び原動機付自転車の運転者のヘルメット着用に関する実態や意識などを分析し, 以下の知見を得た。1) 法令改正前のヘルメット着用については, 自動二輪車では6割程度であったのに対し, 原動機付自転車では2〜3割と着用率がかなり低かった。法令改正後では, 両者とも着用率は上昇し, 100%に近い着用率を示すようになった。2) 法令改正による, 原動機付自転車に対する反則点の適用が原動機付自転車, 自動二輪車の両者のヘルメット着用率に大きな影響を及ぼした。3) しかし, 法令改正後でも自動二輪車で約4分の1, 原動機付自転車で3分の1強の者がヘルメットの不十分な付け方をしていた。4) ヘルメット着用の理由については, 自動二輪車では「傷害防止効果」「事故のこわさ」が約4割あったのに対し, 原動機付自転車では自己の安全を指向した回答は約2割しかなかった。また, 法令改正後の着用理由には「交通反則点または交通規則」が多く, 原動機付自転車では6割に及んだ。学生運転者の安全指向は高いとはいえず, 特に原動機付自転車の運転者ではその傾向が顕著であった。5) 法令改正に伴うヘルメット着用行動の変化が, 直接的に着用行動の習慣化に結びつくことも少なくないであろうと考えられた。6) ヘルメットの非着用理由としては「走る距離が短い」などが多く, 安全教育を進める上で重視すべき点だと考えられた。7) 法令改正後には, 「以前より強く感じる」など, ヘルメットの必要性に関して望ましい認識を持つ者が増加した。また, 望ましい認識を持つ者は, 安全指向が強く, ヘルメット着用の仕方も良いという傾向が見られた。8) 法令改正による着用行動の増大がヘルメットの必要性に関する認識変化をもたらしたことから, Health Belief Model などで見られる「認識」から「行動」への一方向の因果性のみでなく, 「行動」から「認識」への逆方向の因果性も存在することが示唆された。
中京大学の論文
1993-09-20

ヘルメット着用に関する学生運転者の意識と実態

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