精神保健に関する知識と理解に関する研究 : 福祉専門職志向入学生の特徴(社会福祉学科共同研究,社会福祉研究分野)
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概要
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われわれは福祉専門職教育課程の大学学部に入学して直ぐの学生における精神疾患に対するイメージを調査した。調査対象者(113名)は精神保健を受講する直前に、うつ病と統合失調症に関する所定の調査表に、個別に回答した。うつ病および統合失調症の事例について夫々36.4%および54.8%が適切に認識し、病因や経過および転帰についてもほぼ妥当に理解していた。しかし、そうした事例の治療法や治療薬に対する認識や、精神保健福祉に関係した情報知識への関心は必ずしも高くなく、今後こうしたことについて本格的に学び、知識を蓄積することで、適切な認識がより増えていくことを期待したい。偏見や差別に係る項目については、被験者個人における偏見意識はさほど強烈でないものの、身近なテーマとなると否定的態度になる傾向がうかがえ、地域集団としての社会的見解を聞くと更に否定的な言辞すなわち強い偏見が示唆された。彼らが将来、福祉専門職になった時、自分の中にあるこうした気持ちとどのように向き合っていくのか、また一般社会にあるこうした認識をどのように受け止め、専門家として対応し改善させていくのか、今後こうした点に考慮しつつ教育プログラムを開発していく必要性が示唆された。
- 2005-01-31
著者
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