症例報告:24時間食事日記で生活時間改善の必要が認められた神経性大食症患者の1例
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概要
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症例は32歳女性.1999年2月初診.既往歴として,肌神経性無食欲症,逆流性食道炎.過剰な食事摂取と自己誘発既嘔吐を繰り返している.2004年2月における身体計測および生化学検査は身長157.5cm,体重56.4kg,標準体重54.6kg,BMI22.7kg/m^2,体脂肪率25.7%,肥満度3.3%,TP7.2g/dl,Alb5.0mg/dl,アミラーゼ161IU/1,T-cho260mg/dl,TG107mg/dl,HDL-cho69mg/dl,LDL-cho170mg/dl,HbA_<1c>4.6%であった.アメリカ精神医学会によるDSM-IVに従って診断を行った結果,排出型の神経性大食症(BN)と診断された.患者の1日の食行動および食事摂取量を把握するために,24時間食事日記を記録させたところ,過食行動が23時以降に多く認められた.その際の嘔吐率は約74%で,BNの特徴である,深夜過食と自己誘発性嘔吐が観察された.過食時の最高摂取エネルギーは約8,200kcalであった.以上の結果をもと行動変容のための栄養カウンセリングおよび生活指導を月1回の頻度で行った.5月のアセスメントでは,アミラーゼ126IU/1,T-cho212mg/dl,TG 41mg/dl,HDL-cho71mg/dl,LDL-cho133mg/dlと脂質代謝とアミラーゼが改善し,嘔吐回数の減少の傾向が認められた.しかし,6月には,過食,深夜摂取,嘔吐の回数が増加し,アミラーゼが170IU/1と再び上昇した.本症例は深夜の過食と嘔吐回数の減少により一時的なアミラーゼ値の改善が見られたことから,深夜嘔吐がアミラーゼ値の動態に影響していることが推察された.以上のことから,深夜過食と嘔吐回数などの食行動の把握が,24時間食事日記によって明らかとなりBNに対する栄養カウンセリングおよび生活指導を行う上で有用であることが示唆された.
- 2005-03-31
著者
-
松田 秀人
名古屋文理短期大学
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高田 和夫
名古屋文理大学
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高田 和夫
名古屋文理大学健康生活学部
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松田 秀人
名古屋文理大学短期大学部食物栄養学科
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松田 秀人
名古屋文理大学
-
辻 とみ子
愛知文教女子短期大学
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辻 とみ子
名古屋文理大学
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奥村 万寿美
名古屋文理大学健康生活学部健康栄養学科
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橋本 賢
名古屋文理大学健康生活学部健康栄養学科
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松田 秀人
名古屋文理大
-
奥村 万寿美
名古屋文理大学健康生活学部健康栄養学科臨床栄養研究室
-
奥村 万寿美
名古屋文理大学
-
松田 秀人
名古屋文理大学短期大学部
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