「褥瘡対策チーム」に所属する専門職のチーム医療に対する認識
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概要
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本研究は、「チーム医療」を推進する方略を検討するために、褥瘡対策未実施減算通達を契機に設置が増えている「褥瘡対策チーム」に所属する専門職(医師・看護師・理学療法士・作業療法士・薬剤師・臨床検査技師・栄養士)を対象として、「チーム医療」に関する各専門識者の認識、ならびにその相違点あるいは類似点を明らかにすることを目的とした。質問紙により所属する「褥瘡対策チーム」に対する現状認識と評価、およびチームの機能に影響を及ぼす要因を、また自由記述により「チーム医療」に対する考え・思いを調査した。その結果、「褥瘡対策チーム」に所属する専門職114名(看護師:64.9%、医師:20.2%、薬剤師:7.0%、栄養士:5.3%、その他:0.6%)から回答が得られたが、その構成は看護師と医師に偏っていた。「褥瘡対策チーム」についての現状認識は、チームは「機能している」と回答している者が多かったが、職種間に差がみられた。そしてテームに対する評価は、「テームの目標・ゴールの共有」「チームでの自分の役割の明確化」「会議への主体的参加」「会議での決定方法」「会議で合意が得られない場合の対処方法」の5項目では職種間での認識に有意な差はみられなかったが、「オープンマインド」「相互尊重」の2項目で医師のほうが看護師に比べ有意に高い評価を行っていた(p=0.008)。各職種が共通認識している「チーム医療」に不可欠な要因は、「意見・お互いを尊重しあうコミュニケーション」と「高い専門的知識・技能をもったメンバーが、コーディネーター(調整役)を中心にカンファレンスを活用し、柔軟に対応していくこと」の2点であった。一方、自由記述はKJ法により分類した23項目のうち、「医療の質向上」「情報、知識の共有」「カンファレンス」の4つ内容についての記述が職種に関係な(多くみられた。以上のことから、テーム医療に対する認識には多くの類似点がみられる一方、相違点もみられた。今後、本研究結果を基に客観的に「チーム医療」を評価する指標を開発し、職種間の相違点・類似点をより明確にする必要があることが示唆された。その上で、これら相違・類似点がチーム医療の実践とどのように関連するかを追求し、「チーム医療」を推進・定着させるための具体的方策を検討する必要があると考える。
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