異型狭心症を合併した陳旧性心筋梗塞患者の各種薬剤による心筋梗塞2次予防
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概要
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冠攣縮はカルシウム拮抗薬や硝酸薬で抑制されるが, β遮断薬では誘発されるとの主張がある. 一方心筋梗塞2次予防では, β遮断薬や抗血小板薬が有効で, カルシウム拮抗薬や硝酸薬の有効性はない. 本研究の目的は異型狭心症を合併した陳旧性心筋梗塞患者の各種薬剤による2次予防効果を明らかにすることである. 1986年から1999年まで当科において加療した陳旧性心筋梗塞患者延べ6602例中, 異型狭心症を合併した358例について, 各薬剤別に心事故発生頻度を後ろ向きに調査した. 観察終了は心事故で, 心事故とは非致死性再梗塞, 致死性再梗塞, 突然死, 心不全死とした. 各種薬剤処方の有無別心事故発生率は, 抗血小板薬 (処方群vs非処方群, 1.0vs6.3%, p<0.05, オッズ比0.18, 95%信頼区間0.05-0.74), 硝酸薬 (2.6vs4.9%), カルシウム拮抗薬 (3.0vs4.3%), ワルファリン (1.9vs3.9%), 高脂血症治療薬(2.5vs3.8%), ニコランジル(2.5vs3.6%), ACE阻害薬(3.8vs3.2%), β遮断薬 (3.8vs3.1%) で, 抗血小板薬のみ有効で他はいずれも有意差はなかった. 多変量解析でも抗血小板薬のみが有効であった. 冠攣縮後に血栓が形成されることによって心事故が増加し, 抗血小板薬がそれを抑制すると考えられる. 本研究で, 異型狭心症を合併した陳旧性心筋梗塞患者の心筋梗塞2次予防には抗血小板薬が唯一有効な薬剤であることが初めて明らかとなった.
- 近畿大学の論文
- 2004-10-25
著者
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