小売業態開発のマネジメント : 店舗組織と多店舗組織におけるトレードオフ
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概要
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小売企業にとって業態開発の成否は、企業としての持続的な成長を左右する。にもかかわらず、この業態開発に関する研究蓄積はわずかである。とくに業態開発のマネジメントに関する問題については、十分な関心が払われてこなかった。本稿では製造企業による製品開発との比較を通じて、小売企業による業態開発のマネジメント問題を提示する。業態開発には(1)開発産出がサービスであり、(2)開発プロセスが市場に対してオープンであり、さらに(3)生産活動拠点は空間的に分散立地する店舗という3つの特性がある。これらの特性によって業態開発マネジメントは、製品開発マネジメントと異なる様相を帯びる。小売業における規模優位性の戦略的価値を考えるならば、小売企業は業態開発で規模優位性を高めるように店舗組織のサービス生産活動をマネジメントしようとする。しかし店舗組織のサービス生産活動は市場取引を通じて改善されることで、その成果を高めざるを得ない。市場取引での競争条件が分散的に立地する店舗間で異なるとき、これら2つの組織マネジメント間でトレードオフが発生する。小売企業の業態開発成果は、このトレードオフに対する取り組み成果によって決定づけられる。
- 北海道大学の論文
- 2005-09-08
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