アジア開発最前線の労働市場(4) : マレーシア,クアラルンプル首都圏の事例分析
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概要
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本稿では、マレーシアの開発拠点のひとつ、クアラルンプル首都圏を事例として、多民族社会の労働市場を分析した(現地調査は2000年8月に実施)。ハイテク立国を目指すマレーシアの労働市場のあり方は、東南アジアの開発先進地帯の一事例として注目される。マレー人を優遇するブミプトラ政策の下で、確かにマレー人の製造業への就労は進展しているが、個別企業の内部労働市場をみれば、職位構成や賃金格差の点で、依然として中国人(その次にインド人)優位の労働力編成は否定できない。しかも、国内3民族の格差以上に、労働市場の分節性を顕在化させている要因は、労働力不足を補う外国人労働者の大量流入である。インドネシア人、バングラデシュ人などの外国人労働者は、短勤続の雇用条件や昇進=昇級の制約など、不安定就労を強いられ、国内3民族のさらに下位の労働力群として位置づけられている。極端な労働力不足国のマレーシアは、アジアにおける国際的労働力移動と国際的労働市場の編成をみる上でも不可欠の分析対象であることが明らかとなった。
- 北海道大学の論文
- 2002-03-12
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