補綴治療後,金属アレルギーが発現した一症例

概要

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日常の臨床において患者さんの口腔内には様々な種類の金属が合金として装着されているが,稀にその合金の中のある元素(Co,Cr,Ni,Hg,Au,Pd,Pt,Fe,Sn,Irなど)が原因で口腔粘膜や皮膚に発赤,丘疹,糜爛等が現れることがある。これらは歯科用金属が原因で発現する金属アレルギーと考えられ,IV型アレルギーに分類される。その発症メカニズムは,口腔内の金属がある環境においてイオン化して溶出し,ハプテン(単独で抗体と結合するが,それ自体は免疫応答を起こす能力のない低分子の物質)となって,タンパク質と結合して抗原となる。この金属メッキされたタンパク質が抗原抗体反応を起こし,さらにはアレルギー症状の原因となる。その治療はパッチテストやその他の検査(金属の定量,口内電流の測定,原因金属の除去試験および負荷試験)で陽性と診断された場合,それらの元素を含む口腔内の修復物の除去に終始し,また代替えの材料選択にも頭を悩まされるところである。今回著者らは,当院にて金属アレルギーが原因と思われる掌蹠膿疱症の一症例を経験したので報告する。