ENリテーナーの改良

概要

論文の詳細を見る
われわれは,装着した状態においても咬頭嵌合の障害にならず,しかも,治療後の歯列弓を把持でき,床はレジンで制作したものより薄いので従来のものより違和感が少なく,なおかつ審美的にも目立ちにくい保定装置として,加圧形成して製作するENリテーナーを考案し1995年に発表した.今回,前回発表したENリテーナーの不備な点に次のように若干の改良を加えた.1.上顎前歯部は,唇面の一部を被っていただけであるためアンダーカット部の把持がなかったので,改良後は,前歯部唇側面を切端までプレートで被った.2.臼歯の後方スペースが2mm以下の場合は,従来のENリテーナーではこの部で破折するので使用できないことがあったが,その部にワイヤーを即時重合レジンで付着し補強することで,使用できるようになった.3.第二大臼歯あるいは第三大臼歯が萌出中の場合は,ENリテーナーの後方を削除し,その部をワイヤーに置き換え,萌出を妨げないようにした.4.治療終了時,上顎前歯の歯軸角度と歯列の幅径ともにほとんど変化は見られなかった.今回改良したことによりENリテーナーは,臨床において従来型より,使用範囲が広くなった.(Orthod Waves-Jpn Ed 63(1):60〜65,2004)
日本矯正歯科学会の論文