細胞接着によるTGF-betaのフィブロネクチン産生促進作用の修飾

概要

論文の詳細を見る
線維形成性サイトカインであるTGF-betaは様々な細胞でフィブロネクチン(FN)の産生を増加させる。しかし、TGF-betaの強制発現により得られた高TGF-beta血症においても、すべての臓器組織がFNの過剰沈着を伴った線維化に陥る訳ではない。これは、TGF-betaの刺激を受けとる細胞側による制御が存在することを示唆している。本研究では、MDCK上皮細胞を用いて、上皮細胞の細胞間接着や極性がTGF-betaのFN産生制御に及ぼす影響について検討した。(方法)FNのmRNAレベルはSemiquantitative RT-PCR法にて検討した。(結果)MDCK上皮細胞を低細胞密度(2.5x10^4cells/cm^2)で加え1日培養後TGFbeta処理(10ng/ml)を行うとFN産生は著明に増加したが、長期間培養後(10日以上)TGF-beta刺激を行うとFN産生は低下した。In vitro wound migration assayにおいては、TGF-beta刺激によりedgeの移動細胞のFN産生は増加するが、edgeより離れた部分ではFN産生低下が見られた。長時間培養後の上皮細胞シートをCytochalasin D処理や低カルシウム培地処理で細胞接着や極性を喪失させるとTGF-betaによるFN産生促進が認めれた。尚、FNのEDAにおける選択的スプライシングは、FN産生の増減に関わらず、TGF-beta刺激によりEDAを含むFNの割合(EDA+FN/EDA-FN)の増加を認めた。(考察)上皮細胞におけるTGF-betaのFN産生促進作用は、細胞接着あるいは極性により制御されると考えた。これは、TGF-betaが組織傷害部位でのみ特異的に働くための機序の一つと考えられる。
日本結合組織学会の論文

細胞接着によるTGF-betaのフィブロネクチン産生促進作用の修飾

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク