乳牛の血清およびミルクの尿素レベルに及ぼす飼料の影響 : I. 摂取蛋白量の相違にもとずく尿素レベルの変動
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概要
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乳牛の血清およびミルクの尿素レベルは,飼養条件の相違によって著しく変動する.本報告では,血清およびミルクの尿素レベルと摂取蛋白量とのあいだの関係を明らかにする目的で,蛋白含量の異なる飼料で乳牛を実験的に飼養し,その場合における血清およびミルクの尿素レベルの変動について観察した.実験に用いた乳牛は,体重365~600kgの泌乳中および乾乳期のホルスタイン乳牛である.得られた.観察結果を要約すると,次の通りである.I)血清およびミルクの尿素レベルは,同一飼料を給与する限り,ほぼ一定の値を保った.ミルクの尿素レベルは,血清の尿素レベルとほぼ等しかった.2)エネルギー要求量をみたす飼養条件では,尿素レベルは,摂取粗蛋白量に密接に関係した.尿素レベルと摂取粗蛋白量とのあいだの相関係数は0.979と計算された.摂取粗蛋白量の増加に比例して,尿素レベルは増加した.3)給与粗飼料の相違は,尿素レベルに若干影響した.4)標準飼養をおこなった場合の尿素レベルは,泌乳牛で10mgN7100mlに近い値であった.5)血清およびミルクの尿素レベルは,蛋白給与失宜の診断の指標として用いられると考えられた.
- 1966-12-25
著者
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新林 恒一
農林水産省家畜衛生試験場
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新林 恒一
農林省家畜衛生試験場研究第四部
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米村 寿男
農林省家畜衛生試験場研究第四部
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伊出 優
農林省家畜衛生試験場研究第三部
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伊出 優
農林水産省家畜衛生試験場
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米村 寿男
農林省家畜衛生試験場
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新林 恒一
農林省家畜衛生試験場
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