牛卵子の成熟,受精おホび発生能に及僻す血管内皮成長因子の効果(臨床繁殖学)

概要

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牛卵子の成熟に及ぼす血管内皮成長因子(VEGF)の作用を調べるため,ヒト組み換えVEGF_165を用いて3種類の実験を行った。実験1では,牛の卵子卵丘複合体(COC)を5ng/mlのVEGFを添加した修正合成卵管液(m-SOF)と含まない液(対照)とで22時間成熟培養した.・VEGF区の卵子の成熟率は90.5%となり,対照区の78.2%に比べて有意に(P<0.05)増加した.実験2では,牛COCをVEGF添加あるいは無添加m-SOF中で成熟培養した後,それぞれを2群に分け,VEGF添加あるいは無添加の修正BO培地中で媒精した.正常受精率はVEGFを含まない群の63.0%と比較して79.8%(VEGFを成熟培養時に添加)あるいは82.3%(成熟培養と授精時両方に添加)へと有意に(P<0.05)改善された.実験3では,牛COCを実験1と同じ方法で成熟させた後,VEGF無添加条件で,6時間媒精し,m-SOF中で162時間培養した.分割率および4〜8細胞期への発生率を媒精48時間後に観察した.また,168時間に胚盤胞への発生率を調べた.分割率,4〜8細胞期および胚盤胞への発生率は,それぞれ82.0%,70.3%および45.1%となり,対照区の67.3%,52.5%および33.3%に比べて有意に(P<0.05)高かった.本実験の結果からVEGFが牛卵子の成熟に対して有益な作用を有していることが示唆された.
2002-09-25