猫条虫嚢虫が重度に感染したラットにおける病理組織学ならびに病態生理学
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概要
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猫条虫食虫が重度に肝臓へ寄生したラットでは, 寄生部位とは異なる胃粘膜において, 粘液細胞の顕著な増加を伴った胃粘膜肥厚が認められることが知られている. 胃疾患の1つであるMenetrier's diseaseの患者の胃粘膜においても同様な症状が認められる. そこで, このラット一猫条虫モデルが, Menetrier's diseaseを含む胃の疾患モデルとして使用できるか否かを, 病埋組織学的ならびに病態生理学的に検討した. ラットに猫条虫虫卵4,000個を経口投与し, 感染後上14日目から112日目まで, 2週間隔で剖検し, 胃粘膜組織を回収し, 光顕ならびに電顕レベルでの経時的変化を観察した. 感染後56日目以降に, 粘液細胞増加を伴った胃粘膜肥厚が確認され, 時間と共に観察される粘液細胞が変化していることも観察された. また, 感染後112日目に剖検したラットに関しては, 血清中の各種成分濃度の経時的変化も測定した. その結果, 低蛋白血症が認められた. これらの症状はMenetrier's diseaseの症状と非常に類似しており, ラット一猫条虫モデルがMenetrier's diseaseを含む胃の疾患を研究する上で, 有用なモデルであることが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1999-04-25
著者
-
奥 祐三郎
北海道大学大学院獣医学研究科寄生虫学
-
奥 祐三郎
北海道大学大学院獣医学研究科
-
奥 祐三郎
北海道大学
-
神谷 正男
北海道大学大学院獣医学研究科
-
野中 成晃
北海道大学大学院獣医学研究科動物疾病制御学講座寄生虫学教室
-
神谷 正男
北海道大学獣医学部家畜寄生虫病学講座
-
奥 祐三部
北海道大学獣医学部家畜寄生虫病学講座
-
今野 兼次郎
北海道大学大学院獣医学研究科動物疾病制御学講座寄生虫学教室
-
Abella Jose
北海道大学大学院獣医学研究科動物疾病制御学講座寄生虫学教室
-
Abella Jose
北海道大学 大学院
-
今野 兼次郎
北海道大学大学院医学研究科社会医学専攻予防医学講座老年保健医学分野
-
野中 成晃
北海道大学 大学院獣医学研究科寄生虫学教室
-
神谷 正男
北海道大学大学院獣医学研究科動物疾病制御学講座寄生虫学教室
-
奥 祐三郎
北海道大学・獣医・寄生虫学
-
神谷 正男
北海道大学・獣医・寄生虫学
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