フザレノン-X経口投与ラット胃粘膜上皮におけるアポトーシス病変の経時的変化
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概要
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フザレノン-X(FX)1.5mg/kgを5週齢雄Wistarラットに経口投与し, その胃粘膜の病理学的変化を投与後0〜48時間まで経時的に観察した. 蒸留水を経口投与したラットを対照として用いた. FX投与ラットの胃重量(内容物を含む)は投与後1〜24時間にわたり内溶液の増量に伴って対照群より有意に増大した. 光顕的には, FX投与後1時間で基底部の主細胞の核濃縮が散見され, 1.5時間後からは腺頚部にアポトーシス小体が出現し, FX投与後2〜4時間で腺頚部にはびまん性に, 基底〜中間部には巣状に病変が拡がった. 電顕的に, アポトーシス小体を貧食するのは, 腺頚部の未分化細胞, 表層上皮, 主細胞および壁細胞であった. 自発的なアポトーシスは腺頚部の未分化細胞, 表層上皮, 主細胞に起こるが, 壁細胞自身が核質濃縮や細胞質の凝縮を示す像は見られなかった. 病変は4〜6時間目が最も強く, 12時間目にやや軽減し, 24時間目には基底部にわずかに残存する程度に減少したが, 48時間目には2〜3時間目の変化に近い病変が基底部にびまん性に拡がった. これは, 24時間まで胃内に停滞していたFXが吸収された結果であろうと推測された. TdT-媒介性dUTPによる遊離DNA断端標識(TUNEL)法の結果も光顕所見にほぼ一致し, 胃粘膜DNAのアガロースゲル電気泳動によりラダー像が1.5時間後から認められ, 2〜4時間が明瞭であった.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1997-03-25
著者
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