芝地の刈込みとギャップの大きさの違いがヒメクグの生長に及ぼす影響
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概要
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芝地においてヒメクグが適応し繁茂しているメカニズムを解明するために,単植条件下での異なる高さと間隔の刈込みがヒメクグの生長に及ぼす影響と,芝地条件下での異なる高さと間隔の刈込みおよび生長開始時期のギャップの大きさの違いがヒメクグの生長に及ぼす影響を調査し,以下に述べる結果を得た。ヒメクグを単植した非競争条件下では,高さ1.8cmで刈込みを行うと4.8cm刈込みと比較してヒメクグのシュート数の増加も根茎の生長も抑制された。しかし,高さ4.8cmで刈込みを行った場合は無刈込みと比べてシュート数も根茎の生長量も大きな違いは見られなかった。また,生育終期12月下旬の模式図からみた根茎の分布パターンは刈込み処理によらず同じであった。シバとの競争条件下におけるヒメクグは,高さ1.8cmの刈込みでも4.8cmの刈込みでもギャップが大きくなるにつれシュート数も根茎の生長量も増加した。どのギャップサイズでも根茎長は高さ4.8cmの刈込みの方が高さ1.8cmの刈込みより長かったが,シュート数はギャップの直径が15cmの場合1.8cmで刈込みを行った方が高さ4.8cmで刈込みを行った場合よりも多く,根茎の分布パターンにも違いが見られた。シバとの競争条件下では,高さ1.8cm7日間隔で刈込みを行うとヒメクグは成熟種子を全く生産できなかった。ギャップのない状態の芝地でもヒメクグは生長が可能であったが,ギャップサイズが大きくなるにともないヒメクグの生育は旺盛になり,直径5cmのギャップでも根茎の生長量やシュート数はギャップがない場合の2倍以上の値を示した。ヒメクグは,フェアウェーのような頻繁に低く刈込みを行うところではシュートを多く生じ,地上部での占める割合を増やし,より多くの光合成を行う事により周囲のシバよりも優位に生長していく生育形態を取る事によって,また,ラフのように頻度が少なく高く刈込みを行う処では,根茎を長く伸長させシュート間の光競合を緩和させる生育形態をとる事によって,芝地の多様な環境に適応している事が判明した。
- 日本雑草学会の論文
- 2004-06-30
著者
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