ジエチルヘキシルフタル酸(DEHP)曝露によるラット精巣のアラキドン酸代謝の変化(毒性学)
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概要
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我々は,これまでの報告で,ジエチルヘキシルフタル酸(DEHP)曝露が精巣におけるtestosterone生合成や代謝に影響を及ぼし,血中のtestosterone濃度を減少させることを明らかにした.一方で,アラキドン酸は精巣からのtestosterone放出の制御に関与していることも報告されている.しかし,フタル酸類によるアラキドン酸生合成や代謝に関する研究は報告されていない.そこで,本研究では,性成熟前の4週齢WistarオスラットにDEHP(100mg/kg,1000mg/kg)を5日間経口投与し,精巣におけるアラキドン酸合成およびその代謝に対する影響について調べた.DEHP曝露は精巣においてアラキドン酸の生合成酵素であるcytosolic phospholipase A_2(cPLA_2)のタンパク発現レベルおよび活性を抑制することが明らかとなった.一方,アラキドン酸の代謝酵素である12-lipoxygenase(12-LOX),cyclooxygenase-2(COX-2)およびCYP4A1の蛋白発現レベルを測定したところ,COX-2の発現レベルに変化は見られなかったが,12-LOXおよびCYP4A1に関しては有意な発現増加が認められた.従って,本研究から,DEHPによる血中testosterone濃度の低下は,DEHPによるcPLA_2の発現および活性の抑制,12-LOXおよびCYP4A1の有意な発現増加によるアラキドン酸濃度の低下によって引き起こされる可能性が示され
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2004-09-25
著者
-
藤田 正一
北海道大学大学院獣医学研究科環境獣医科学講座
-
石塚 真由美
北海道大学大学院獣医学研究科毒性学教室
-
金 亨燮
北海道大学大学院獣医学研究科毒性学教室
-
数坂 昭夫
北海道大学獣医学研
-
藤田 正一
北海道大学大学院獣医学研究科毒性学教室
-
藤田 正一
北海道大学大学院獣医学研究所
-
数坂 昭夫
北海道大学大学院獣医学研究科環境獣医科学講座毒性学教室
-
石塚 真由美
北海道大学・大学院獣医学研究科環境獣医科学講座・毒性学教室
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