奥日光山岳域における夏季および秋季のオゾン濃度変動
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概要
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近年関東周辺山岳域で見られる森林衰退の原因・として大気汚染物質の影響が重要ではないかといわれている。しかし,この地域でのこれまでの観測は電源の都合により,長期的な観測が出来ず,そのため観潮時の天候に大きく影響されて,大気汚染の影響が十分把握されていない。本研究では電源に太陽電池を用いることにより,実際に森林被害の激しい前白根山山頂付近で,大気汚染物質であるオゾン(O_3)を,約3ヵ月にわたって長期的に観測することで,この地域でのO_3濃度変化を明らかにした。更に高濃度O_3が現れる頻度やその起源,それらが出現する気象条件を考察した。その結果,今回の観測では,期間中の最高濃度は1時間平均値で70ppb弱であり,過去に観測された100ppbを超えるような高濃度は観測されなかった。また,長期間の統計的なO_3濃度変化を調べることにより,この地点でO_3が高濃度になるのは夏季の卓越した南風に加えて,日射強度が大きい時であることが分かった。これは強い日射により,都市域で発生した一次汚染物質が光化学反応を起こしながら,広域な海陸風循環によって輸送されてきた為であると考えられた。また,9月以降の秋季には03の平均濃度が上がると共に日食化か小さくなった。これは山頂付近では自由対流圏大気の影響が大きくなり,アジアのバックグラウンドオゾンが輸送されていて,関東平野部からの汚染空気の寄与が小さくなるためと考えられた。
- 社団法人大気環境学会の論文
- 2004-05-10
著者
-
菅田 誠治
国立環境研究所
-
畠山 史郎
国立環境研究所
-
高見 昭憲
国立環境研究所
-
菅田 誠治
独立行政法人国立環境研究所
-
北 和之
茨城大
-
北 和之
茨城大・理
-
北 和之
茨城大学理学部地球生命環境科学科
-
北 和之
東京大学大学院理学系研究科
-
北 和之
茨城大学理学部
-
劉 発華
伊藤忠テクノソリューションズ(株)
-
畠山 史郎
東京農工大学大学院共生科学技術研究院
-
劉 発華
株式会社CRC総合研究所
-
片平 菊野
茨城大学理学部
-
畠山 史郎
国立環境研
-
高見 昭憲
国立環境研
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