京都市附近における蚊の生態学的研究 : (I) 墓地及び竹林内微陸水域における蚊幼虫相の遷移について
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概要
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(1) 1953年1月から12月にかけて, 京都市附近の"あかうけ"と"たけかぶ"内微陸水域に出現する蚊幼虫及び蛹の周年遷移を観察した. (2) 出現した種類を, 個体数の多い順に示すと, "あかうけ"ではAedes japonicus, Aedes albopictus, Uranotaenia bimaculata, Aedes nipponicus, Orthopodomyia anopheloides nipponica, Tripteroides bambusa, Culex kyotoensisの5属7種, "たけかぶ"では, Uranotaenia bimaculata, Aedes flavopictus, Tripteroides bambusa, Armigeres subalbatus, Aedes japonicus, Aedes albopictusの4属6種である. (3) "あかうけ"における出現様相は, Aedes japonicusが周年出現し, 概ね冬春季には優占位を占めるが, 夏にはAedes albopictusに凌駕され, 11〜12月にはUranotaenia bimaculataに圧倒される. (4) "たけかぶ"における出現様相は, Uranotaenia bimaculata, Tripteroides bambusaの両種が最も出現期間が長く, 前者は冬秋季に圧倒的優占位を占めるが, 春と夏にはAedes flavopictusがこれに代る. (5) 両水域を一応群集を見なし, 夫々"高台あかうけ群集", "丘陵たけかぶ群集"と命名した. (6) 以上の所見に基き, 両水域における各種類の越冬性, 生活史, 並びに群集の構成と特徴について, 若干の考察を試みた.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1953-12-25
著者
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