ヒトスヂシマカ Aedes albopictus (Skuse) とヤマダシマカ Aedes flavopictus Yamada の研究 : (1) 五対毛 (α, ε) 分岐数による両種終齢幼虫鑑別の可能性について
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概要
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(1)ヒトスヂシマカとヤマダシマカの終齢幼虫を, 五対毛(α, ε)の分岐数によつて鑑別する従来の知見を, 推計学的に再検討した.(2)材料は1952年秋に京都市西南丘陵地帯の竹林内で採集した両種雌成虫を個体別に飼育産卵せしめ, これより孵化した幼虫を, 夫々親別に分けて飼育し, 得られた終齢幼虫脱皮殻につき, 上記両毛の分岐数を計測した.(3)供試数は, ヒトスヂシマカ3群, 計156個体, ヤマダシマカ5群, 計194個体である.(4)両種各群における平均値の均一性を検定した結果, ヤマダシマカのa毛のみが高度に有意となり, 他は有意ではなかつた.この原因は不明である.(5)両種全測定個体について, 両毛分岐数の分布型を調べた結果いずれも概ね正規型分布をすると認定した.(6)両毛分岐数の母平均の信頼限界は, ヒトスヂシマカのa毛2.93〜3.09, 同ε毛2.46〜2.64, ヤマダシマカのa毛6.77〜7.09, 同ε毛7.98〜9.22である.(信頼度95%)(7)種々の危険率における両毛分岐数の棄却限界を比較した結果, これらの分岐数による両種終齢幼虫の鑑別は危険率2%以上においてのみ可能であり, またa毛が5岐する個体はヤマダシマカに属し, ε毛が5岐する個体はいずれに属するとも云えないことが結論された.終りに本研究のテーマを与えられ, 終始懇切な御指導を賜つた恩師中田五一先生, 並びに推計学的処理について, 絶大な御教示を仰いだ大阪市立大学理工学部の大沢済先生に, 深く感謝の意を表する.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1954-06-30
著者
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