タイ国バンコク近郊における日本脳炎媒介蚊の吸血間隔と生存率の推定
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概要
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疾病媒介蚊の吸血頻度と生存率は病原体の伝播効率に影響する重要な変数である。我々はHolmes and Birley (1987)の時系列分析法により, タイ国における日本脳炎媒介蚊Cx. tritaeniorhynchusとCx. gelidusの吸血間隔と生存率を推定した。両種の雌成虫を水牛舎と豚舎でそれぞれ30日間と24日間, 連夜, 採集した。採集個体は解剖し, 卵巣の気管の形状から経産, 未経産を判定した。合計17,482個体のCx. tritaeniorhynchusと13,011個体のCx. gelidusが採集され, 経産率は15∿22%であった。水牛舎で得られたデータの分析から, 吸血間隔とその間の生存率は, Cx. tritaeniorhynchusについてはそれぞれ5日と20%, Cx. gelidusについては8日と16%と推定された。これらの数値から計算された日生存率は, それぞれ, 72%と80%であった。しかし, 豚舎で得られたデータの分析からは統計的に有意な結果は得られなかった。Holmes and Birley (1987)の方法は日本脳炎媒介蚊の疫学的研究に利用しうるが, その適用の成否は採集場所の条件に影響される。
- 1998-06-15
著者
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茂木 幹義
佐賀医科大学・病因病態科学
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茂木 幹義
佐賀大学
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MALAINUAL Nat
Department of Parasitology, Faculty of Medicine Siriraj Hospital
-
THAVARA Usavadee
Division of Medical Entomology, National Institute of Health, Department of Medical Sciences
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CHANSANG Chitti
Division of Medical Entomology, National Institute of Health, Department of Medical Sciences
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Chansang Chitti
Division Of Medical Entomology National Institute Of Health Department Of Medical Sciences
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Thavara Usavadee
Division Of Medical Entomology National Institute Of Health Department Of Medical Sciences
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Malainual Nat
Department Of Parasitology Faculty Of Medicine Siriraj Hospital
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