北海道のブユ科 II : Prosimulium 属の 1 新種とキアシオオブユの再記載
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概要
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著者は, 1974∿1979年6月に北海道渡島半島と道央部の平地山地で多数のProsimulium属のブユ幼虫, 蛹を採集し, これらを飼育して成虫雌雄を羽化させ, また人畜に来襲する雌成虫も多数採集した。これらはP. yezoense complexであり比較検討の結果, P. yezoense (s. str.)キアシオオブユと新種P. karibaenseキンイロオオブユの2種に分離すべきであると認められたので, 新種キンイロオオブユを記載し, さらに従来まで記載不充分であったキアシオオブユの再記載をした。キアシオオブユとキンイロオオブユとは雌雄の生殖器構造に差があり, 脚の形態, 色彩にも差が認められ, とくに雌の胸背の微毛は前者は黄色, 後者は鮮明な黄金色となっている。蛹の呼吸糸は前者では22∿25本, 後者では30∿34本となっている。両種ともP. alpestre, P. serurense, P. apoinumにもかなり類似しているが, 雌雄の交尾器の形態, 雄の後脚の形態, 蛹の呼吸糸, 幼虫の肛鰓の形態などによって区別できる。キアシオオブユは一般に平地性, キンイロオオブユは山地性で, 両種とも人体に対する顕著な吸血性は認められており, 前者の牛馬に対する吸血性はよく知られているが, 後者では不明である。
- 日本衛生動物学会の論文
- 1980-09-15
著者
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